コロナで東京を脱出し地方に移住した人はどのぐらい?
新型コロナウイルスの感染拡大により「東京を脱出して地方に移住した人が増えている」というニュースがありますよね。リモートワークの定着で、東京で働く必要がなくなったからとか。
そうしたケースもあるでしょうが、一方でコロナとは関係なく東京に来ることになった人もいるはず。差し引きではどうなのか?調べてみました。
東京「都」を脱出した人は増えているが、東京「圏」では…
人口移動に関しては総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告」というデータがあります。
毎月公表されるもので、都道府県ごとの人口移動もわかります。
2020年12月24日に公表された11月分までの数値をグラフ化したのが下図です。
東京への転出入者数
(出所…総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」をもとに作成)
転入者から転入者を引いた値が転入超過者数です。転入超過者数がプラスなら転入者のほうが多い、マイナスなら転出者が多いことになります。
同じ「東京」でも東京都と東京圏では傾向に違いがあります。
東京圏とは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のことです。
東京都では7月から5ヵ月連続で転出超過(東京都を脱出した人が多い)の状態が続いていますが、東京圏で見ると9月と10月は転入超過(東京圏に来た人のほうが多い)となっています。
「東京を脱出して地方に移住」と聞くと、首都圏以外の北関東や甲信越あるいは東北地方や中部地方などイメージしますが、そこまでの「地方」ではないんですね。
近場の「地方」である神奈川県、埼玉県、千葉県に引っ越してる人が多いってこと。
データを見ても7月の神奈川県以外は3県とも転入超過が続いていますね。
ということは、正確には「東京を脱出して近隣県に移住している人が増えている」です。
地方=近隣県(神奈川、埼玉、千葉)は結びつかないですよね。
名古屋圏からの脱出者が多い
「東京だけでなく都市部から地方への移住が全国的に広がっている」というニュースもあるので、東京圏だけでなく大阪圏、名古屋圏についても調べてみました。
同じ総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告」での大阪圏、名古屋圏の数値が下記。
(大阪圏…大阪府、兵庫県、京都府、奈良県。名古屋圏…愛知県、岐阜県、三重県)
三大都市圏の転入超過者数
エリア | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東京圏 | 1,267 | 4,258 | -1,459 | -459 | 87 | 1,118 | -280 |
名古屋圏 | -985 | -924 | -846 | -590 | -1,200 | -1,323 | -549 |
大阪圏 | -593 | -567 | 137 | -232 | -618 | -535 | -14 |
(出所…総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」をもとに作成)
単位は人。数値のマイナスは転出超過
大阪圏、名古屋圏は転入者より転出者が多い転出超過となっています。
特に名古屋圏は転出超過が続いていますね。
東京圏よりも大阪圏、名古屋圏のほうが脱出傾向が強いことになりますね。